絵本の魔術師 エリック・カール展へ行く。大混雑だったので大半は足早に駈け抜けたが、比較的前が空いていた作品「赤い目をした灰色のマスク」は、じっくり観ることが出来た。単に私の斑点好みによるものかも知れないが、これはいい。
また以前、私は『はらぺこあおむし』について、「最後の3ページって本当に必要?」と漏らしたものだが(「はらぺこあおむし / エリック・カール」)、今回知った『はらぺこあおむし』の前身作『虫のウィリーの一週間』では、緑の虫がリンゴやナシ、チョコレートを食べて穴を開けるだけで、最後にチョウにはなったりはしない。すなわち、『はらぺこあおむし』とは、普通の変態譚を書こうとして、ついつい「はらぺこ」部分に興が乗ってしまった帰結ではなく、ほとばしる「はらぺこ」を「変態譚」の枠組に納めた作品なのだ。……ところで『虫のウィリーの一週間』の最終項に現れた巨大な緑の塊(チョウにならないウィリーのなれの果て)は、最高にチャーミングだと思う。