Jan 28, 2007

たちぎれ線香 / 桂米朝

久しぶりに桂米朝の「たちぎれ線香」で泣いた。解説にも書かれているが「落語には珍しい純愛物語」だ。色街の芸妓に入れ上げた船場の若旦那が、親族会議にかけられ、蔵に百日放り込まれる。突如音信不通となった若旦那に宛てて、芸妓はひたすら手紙を書く……という話。そもそもがお金の絡んだ関係ゆえ、外面はどこからどう見ても「遊び」に他ならず、社会的に彼らの「恋」を証明するものは何もない。引裂かれた二人は、お互いの状況も分からないまま、ただただ破局に向かっていく。……というわけで、拝聴を終え、しばらく余韻に浸ってから、「ああ、やっぱり『恋』を動かしているのは『信頼』じゃなくて『不安』なのね……」とでも漏らしたいところだったが、「嗚呼、この(男に都合が良過ぎて)下手すれば不愉快にもなりかねない危うげな作品を支えているのは、『物語』じゃなくて『視点の移動=ポリフォニックな作劇』なのね……」と、寧ろそっちのほうに溜息が出た。