これが2020年3月頃より毎朝の活動として定着し、1ヶ月ほど経った4月半ば、ふとベルトのゆるみから、自らのこの世界に占める体積の減少に気付いたのだった。ベルトのゆるみは心のゆるみ。「幅を利かす」という言葉からも窺い知れるように、体積とは、人間の社会的な存在の量を測る尺度に他ならない。――良いだろう、こうやって社会的に小さくなっていくのも。
しかし、質量はどうか? ひょっとすると質量も減っているのではないか? 質量とは、エネルギーに他ならず(cf. E=mc2)、自然界における存在の量を測る尺度であって、これが小さくなるのはやや困る気がしたので、勢いをつけて体重計に飛び乗った。……うむ、元が分からないから、質量が減ったのかどうかも分からない。
そんなわけで、何となくその日から毎日体重を記録することになった――しかし、記録とは人間の取り得る最も病的な仕草のひとつではなかったか? ――のだが、6月末時点で眺めると、グラフは右肩下がりの直線上にほぼ乗り、大体2週間で1㎏のペースで低下している。このまま行くと後2年数ヶ月で質量が0になるだろう。これぞ、自己消滅。