『雨月物語』に触れ、
オバケが出て來ても、あの世へ行ったのがまたこの世へ戾って來てあの世へ行くという仕掛けではないのです。あの世へ行くという途中で出て來る。(…)これは實在の世界と未知の世界という二つの配置があって、同時にその双方に關係する、つまり論語にいう「両端をたたく」。端が二つあって、それを同時にたたかなければならない、そうしなければ世界像は完全につかめない。そういう世界觀です。というくだりがあり、昨今の私の興味からすると甚だ印象的だった。これまで様々な作品に対して着目して来た帰郷⇔再訪のサイクル、すなわち「この世」と「あの世」の反復運動ではなく、「ただ次元からいうと實在の世界とほとんど相似のようなところに別天地がある。未知の世界がある。」という「實在」と「未知」の並行世界の絶え間ない滲み合いという状態も確かに面白い。