Jan 2, 2012

ぐりとぐらの見分けかたn°1「証言」

青いほうがぐりで赤いほうがぐらなのは当たり前の常識で、福音館書店母の友編集部編『ぼくらのなまえはぐりとぐら 絵本「ぐりとぐら」のすべて。』p.50-55「「ぐりとぐら」の世界をのぞいてみれば。」の「ぐりとぐら」の項、
ぐりとぐら
ふたごの兄弟の野ねずみ。いつも色違いのおそろいの服を着ている。ぐりはいつも青、ぐらはいつも赤なので、たやすく見分けがつく。(…)
(福音館書店母の友編集部編『ぼくらのなまえはぐりとぐら 絵本「ぐりとぐら」のすべて。』p.50)
などわざわざ引くまでもないのだが、同書のこれに続く一文が証言する、柔軟な思考、というよりも常軌を逸した懐疑に不意を突かれ膝がかっくんとなる。すなわち、
(…)ただ、ふたりをよく知るY・Y氏によると、ある日、入れ替わってお互いのふりをしていないとは限らない、とのこと。
(同上)
であり、「Y・Y氏」が作者の一人、山脇百合子氏でないことを祈りたいが、「ぐりはいつも青、ぐらはいつも赤」という我々の学習が揺さぶりをかけられているわけで、これまでそんなことは思いも寄らなかったのに、一度疑い出したら、ぐりの面をかぶったぐらや、ぐらの面をかぶったぐりが跋扈する同一性のぐらつき(ぐりつき?)に軽い眩暈がする。青いことを確かめて、ぐりと寝たつもりが、実はぐらだった、では如何にも都合が悪かろう、ほとんど、Audrey Niffeneggerの"Her Fearful Symmetry"の世界ではないか! ("Her Fearful Symmetry"はもっとややこしいが……)。ぐり ぐら ぐり ぐら。(つづく